○仁淀川の清流保存に関する条例
平成16年10月1日
条例第155号
目次
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 仁淀川清流保存対策基本方針(第10条)
第3章 汚濁防止及び環境対策
第1節 仁淀川沿川の美化及び浄化(第11条・第12条)
第2節 排水の汚濁防止(第13条―第19条)
第3節 自然環境の対策(第20条―第25条)
第4章 清流保存の推進組織(第26条・第27条)
第5章 補則(第28条―第32条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、仁淀川の清流を永遠に守るため、河川管理者の行う清流保全対策及び仁淀川水系河川環境管理基本計画(以下「環境管理基本計画」という。)と相まって、町長、住民及び事業者のそれぞれの責務を明らかにするとともに、仁淀川の清流対策と流域の環境等の保存に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、現在及び将来の住民に清流の確保を保障し、もって住民の福祉の向上を図ることを目的とする。
(清流保存の基本理念)
第2条 この条例において清流とは、流水と、流水の源である自然環境及び住民の生活が適正な調和を保つ状況をいう。
2 清流を守るための施策は、現在及び将来の住民の参加及び協力並びに理解に基づき行われるものとする。
3 清流を守るための施策を進めるに当たっては、他の公益目的との適正な調和について配慮し、土地の所有者及び利害関係人の正当な権利を尊重しなければならない。
(1) 仁淀川 町内における河川法(昭和39年法律第167号)第4条第1項の規定により指定された仁淀川水系及び同水系に流入する河川、公共溝、かんがい用水並びにその他公共の用に供される水路をいう。
(2) 生活排水 住民の日常生活に用いられる住居、事務所、学校その他の公共施設、店舗等に附帯する厨房及び浴室等から、人の生活に伴い排出されるすべての水をいう。
(3) 浄化に有効な装置等 仁淀川に排出される排水の浄化に効果のあるもので、規則で定めるものをいう。
(4) 仁淀川自然環境保存区域 仁淀川流域において、優れた自然環境を有し、法に定める河川区域及び河川保全区域以外で、町長が定める区域をいう。
(町長の責務)
第4条 町長は、仁淀川の清流を守るため、第10条に定める基本方針を策定し、この方針に基づいて、総合的な施策を実施しなければならない。
(住民の責務)
第5条 住民は、仁淀川の清流を守るため、自ら努力するとともに、町長が実施する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、仁淀川の清流を守るため、常に最大限の努力をするとともに、町長が実施する諸施策に協力しなければならない。
2 事業者は、その事業活動によって生ずる廃棄物及び排水の適正な処理並びに公害の防止に努め、仁淀川の清流を損なわないよう自らの責任と負担において、必要な措置を講じなければならない。
3 事業者は、その事業活動に当たっては、仁淀川の自然環境の破壊の防止に努めなければならない。
4 事業者は、その事業活動において公害等に係る紛争が生じたときは、誠意をもってその解決に当たらなければならない。
(連携及び協力)
第7条 町長、住民及び事業者は、連携を図り、仁淀川の清流を守るための必要な活動を協力して行うものとする。
(関係行政機関への協力要請等)
第8条 町長は、仁淀川の清流を守るため、必要に応じ、国、県及び関係地方公共団体に対し、協力を要請するものとする。
(啓発活動及び助言)
第9条 町長は、仁淀川の清流を守るための知識の普及及び住民意識の高揚を図るとともに、自主的活動の助長並びに育成に努めるものとする。
2 町長は、住民及び事業者が行う仁淀川の汚濁防止のための施設の整備について、必要な助言又は指導をすることができる。
第2章 仁淀川清流保存対策基本方針
(基本方針)
第10条 町長は、仁淀川の清流を守るため、流域における汚濁負荷量の削減等に関する仁淀川清流保存対策基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。ただし、法に規定する河川区域及び河川保全区域については、河川管理者の策定する環境管理基本計画によるものとする。
(1) 仁淀川の水質の維持及び改善に関する事項
(2) 仁淀川の自然環境保存に関する事項
(3) 清流保存意識の普及及び定着に関する事項
(4) 前3号に定めるもののほか、仁淀川の清流を守るため必要な事項
3 町長は、基本方針の決定又は変更に当たっては、あらかじめ河川管理者と協議するとともに、仁淀川環境保全対策協議会設置条例(平成16年いの町条例第153号)に基づき設置された仁淀川環境保全対策協議会(以下「協議会」という。)に諮問し、その意見を聴かなければならない。
4 町長は、前項に規定する場合のほか、仁淀川の清流保存に関し、重要な事項については、協議会に諮問し、その意見を聴くものとする。
第3章 汚濁防止及び環境対策
第1節 仁淀川沿川の美化及び浄化
(沿川の美化及び浄化)
第11条 住民は、自ら仁淀川沿川の美化及び浄化に努めなければならない。
(美化及び浄化活動の助成)
第12条 町長は、住民が行う仁淀川沿川の美化及び浄化活動を、予算の範囲内で助成することができる。
第2節 排水の汚濁防止
(生活排水の浄化)
第13条 町長は、公共下水道事業及び農業集落排水事業並びに浄化槽の設置の推進を図り、生活排水の浄化に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、住民は、生活排水を仁淀川に排出しようとするときは、排水の浄化に有効な装置等を設置してから排出するように努めなければならない。
3 住民は、仁淀川の水質悪化を招く、生ごみ粉砕機その他これに類する器具を用いて処理した水を排出してはならない。
(助成措置)
第14条 町長は、浄化槽の設置を促進するため、住民に対し、毎年度予算の範囲内において助成を行うものとする。
(肥料等の適正使用)
第16条 肥料又は農薬を使用する者は、肥料又は農薬を適正に使用し、仁淀川の水質を汚濁しないように努めなければならない。
(家畜のふん尿の適正処理)
第17条 畜産業に従事する者は、家畜のふん尿を仁淀川に排出しないよう、その処理施設の設置に努めるとともに、土壌還元等の方法により適正に処理しなければならない。
(工場等の責務)
第18条 工場又は事業場は、事業活動に伴う排水又は廃液を仁淀川に排出しようとするときは、次の各号に掲げる基準に適合しなければならない。
(1) 仁淀川の水を著しく変化させるような色又は濁りのないこと。
(2) 仁淀川の水温を著しく変化させるような排水温度でないこと。
(3) 仁淀川の水に著しく臭気を帯びさせるような排水でないこと。
(特定施設の管理)
第19条 水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号。以下本条において「法」という。)に定める特定施設の設置をする工場又は事業場は、設置後の維持管理を適正に行い、法に定める適正な排水基準を守るように努めなければならない。
2 町長は、前項の特定施設の設置者又は管理者が法に定める排出基準に適合しない排出水を排出していると判断されるときは、法第13条の規定による改善命令等を知事に要請するものとする。
第3節 自然環境の対策
(景観の保持)
第20条 事業者は、その事業活動により、仁淀川の自然環境を損なうことのないよう努め、自然景観を保持するため、植生の回復及び緑地の造成等の措置を積極的に講じなければならない。
(仁淀川自然環境保存区域)
第21条 町長は、仁淀川の優れた自然環境を保存するため、仁淀川自然環境保存区域(以下「保存区域」という。)を指定することができる。
2 町長は、保存区域の指定をしようとするときは、河川法に規定する河川区域及び河川保全区域を除外し、あらかじめ第10条第3項に規定する協議会の意見を聴くとともに、規則で定めるところによりその旨を公告し、その案を当該公告の日から14日間縦覧に供しなければならない。
4 町長は、前項の規定により、異議ある旨の意見書の提出があったとき、又は当該保存区域の指定に関し広く意見を聴く必要があると認められたときは、公聴会を開催するものとする。
5 前3項に定めるもののほか、公聴会について必要な事項は、規則で定める。
6 町長は、保存区域を指定したときは、これを告示しなければならない。
7 前項の規定は、保存区域の変更及び解除について準用する。
(行為の届出)
第22条 保存区域に指定された区域で、次の各号に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ町長にその旨を届け出なければならない。
(1) 建築物その他の工作物を新築し、増築し、改築し、又は移転すること。
(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、土石、砂利の採取その他土地の形質を変更すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、保存区域の自然環境に悪影響を及ぼすおそれのある行為で、町長が定めるもの
(1) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
(2) 国又は地方公共団体による行政運営上必要な行為
(3) 土地所有者又は地区の共同作業として行う一般的な管理行為
(4) 法令に基づく行為
(5) 前各号に定めるもののほか、自然環境に悪影響を及ぼすおそれがないもので、町長が定めるもの
(行為の変更届)
第23条 前条第1項の規定により届出をした者は、届出をした事項に変更を生じたときは、直ちにその旨を町長に届け出なければならない。
(指導勧告)
第24条 町長は、第22条第1項の規定による届出があった場合において、保存区域の目的を達成するため必要があると認めるときは、当該届出をした者に対して、計画の変更若しくは改善を指導し、又は勧告しなければならない。
2 前項に該当する事業者等は、町長と保存協定を締結しなければならない。
3 第1項の規定により、保存協定を締結した者は、これを忠実に履行し、仁淀川の清流を守るよう努力しなければならない。
第4章 清流保存の推進組織
(仁淀川清流保存推進本部の設置)
第26条 町長は、仁淀川の清流を守り必要な対策を推進するため、仁淀川清流保存推進本部(以下「推進本部」という。)を置く。
2 推進本部は、次の各号に掲げる事業を行うものとする。
(1) 仁淀川の清流を守るために必要とする事業の企画、立案及び実践に関すること。
(2) 前号に定めるもののほか、推進本部の目的達成のために必要な事業に関すること。
3 推進本部の組織及び運営に関し必要な事項は、町長が別に定める。
(仁淀川清流保存愛護員の設置)
第27条 町長は、仁淀川の水質及び流域の環境状況を把握するため、仁淀川清流保存愛護員(以下「河川愛護員」という。)を置く。
2 河川愛護員の人員は、10人以内とする。
3 河川愛護員は、仁淀川の清流を守ることについて、深い関心と理解をもち、次項に掲げる任務を行うのに必要な熱意と能力を有する者を町長が委嘱する。
4 河川愛護員は、次の各号に掲げる任務を有するものとする。
(1) 地域の河川の水質及び流域の環境状況を調査し、異常がある場合には、町長に通報すること。
(2) 仁淀川の美化及び浄化に関して、町長に提言すること。
(3) 清流保存意識の普及・啓発を図るとともに、仁淀川の清流保存に関して住民の相談窓口となること。
(4) 町長の行う仁淀川の清流保存のための事業に協力すること。
(5) 町長の行う仁淀川に関する調査研究に協力すること。
5 町長は、前項第1号の通報を受理したときは、速やかに、河川管理者及び関係行政機関に連絡するものとする。
6 河川愛護員の任期は2年とする。ただし、再任を妨げない。
第5章 補則
(立入り調査)
第28条 町長は、この条例の施行のため必要な限度において、いの町職員に、他人の所有又は占有する土地又は工場等に立ち入らせて、状況の調査及び関係者に対する指示を行わせることができる。
2 前項の規定による立入り調査を行う職員は、規則で定める身分証明書を携帯し、立入り調査に着手する前に、関係人にこれを提示し、合わせて立入り調査をする理由について告知しなければならない。
3 何人も正当な理由がない限り、第1項の規定による立入り調査を拒み妨げてはならない。
4 第1項の規定による立入り調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(資料の提出)
第29条 町長は、この条例の施行のため必要な限度において、住民及び事業者若しくは関係者と認められる者に対し、必要な事項についての資料の提出及びその資料についての説明を求めることができる。
2 何人も正当な理由がない限り、第1項の規定による資料の提出及び説明を拒否してはならない。
3 第1項の規定による資料提出等の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(氏名等の公表)
第30条 町長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、当該事業者に弁明の機会を与え、その弁明に正当な理由がないと認めるときは、当該事業者の氏名及び住所(法人にあっては、名称、代表者氏名及び主たる事務所の所在地)並びにその事実行為について公表しなければならない。
(2) 第25条第1項の保存協定に違約して当該事業を行い、保存区域内の景観又は動植物の生態系に重大な影響を及ぼした場合
(3) 第28条の規定による立入り調査を、正当な理由がなく拒み妨げた場合
(4) 前条の規定による資料の提出及び説明を正当な理由がなく拒否した場合
(法令の遵守義務)
第31条 住民及び事業者等は、仁淀川の清流を保存するため、法令に定めのある水質の基準及び禁止行為の規定を遵守しなければならない。
(委任)
第32条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成16年10月1日から施行する。